中国の「ブラック・スワン」に警戒が必要

Don’t Discount A Black Swan Event For China

今後10年で中国金融市場が米国を上回り、世界を主導するとの見方がある。その見方が現実化した場合、中国市場に関連した「ブラック・スワン」を過小評価すべきではないと警告する向きがある。

バンガードのアジア太平洋地域担当チーフ・エコノミスト、ワン・クァン氏は、「上海と深セン株式市場は、今後10年それぞれ年率7.5%と9.5%のリターンが期待でき、米国市場を大きく上回る運用益が見込まれる」としている。

米国からの運用資産の一部は、MSCIエマージング市場指数などを通じて中国市場に流れ込んできている。一方、中国の資金が大量に米国に流れ込むことは、制限されているのが現状だ。

ジュネーブで活動するユニジェシュチェンのクロス・アセット・ソリューション担当バイスプレジデント、オリバー・マーシオ氏は、今週の米中貿易第一段階合意が円滑に進むことを望むとしたうえで、「問題は次の段階だ。想像するのは容易ではない」とした。

しかし、エコノミック・インテリジェンス・ユニット(EIU)は、「ブラック・スワン」事象に注意が必要だと警告、特に権威主義の動きには警戒すべきだとしている。これが具体化した場合は、世界的に悪影響が生じるという。

実際、昨年、香港の民主化運動に関連したNBA(全米プロバスケットボール協会)のスポンサー・シップで大きな障害が発生している。

また、別のビック・スワンとなり得るのが中東だ。EIUは、中国が、中東からの原油輸入大国であることで、危険性が高いとしている。

中国は、国内でも2003年のSARS問題を彷彿させるような懸念が浮上している。EIUは、これもブラック・スワンになり得ると指摘している。

さらに、中国国内の中小企業が抱える債務問題もある。中小企業が債務不履行(デフォルト)が表面化した場合、連鎖倒産を招きかねないという。

アクサ・インベストメント・マネジャーズのエコノミスト、アイダン・ヤノ氏は、中国国内では米国との貿易問題が解決したとの前提にたっていることが危険材料だと指摘している。

そのうえで同氏は、「もっとも懸念されるのが、住宅市場だ」とした。「米国との貿易紛争に関して、中国国内ではサプライチェーンの調整がまったくなされておらず、これが、経済に大きな打撃を及ぼす危険性を秘めている」とした。